ご存知ですか? メタポリックシンドローム!

(財)高知県総合保健協会 管理栄養士 久武啓子

 皆さん、聞いたことがある単語でしょうか?

 メタポリックシンドロームという言葉。

 シンドロームX(Reaven,1988)、死の四重奏(Kaplan,1989)、インスリン抵抗性症候群(De Fronzo,1991)、内臓脂肪症候群(松澤,1987)etcなどいろんな表現をされてきましたが、動脈硬化性 疾患(心筋梗塞や脳卒中など)の危険性を高める複合型リスク症候群を「メタポリックシンドローム」という概念のもとに統一しようとする世界的な流れのなか、日本内科学会をはじめ8つの学会から構成され た「メタポリックシンドローム診断基準検討委員会」が、2005年4月に開催された築102回目本内料学会総会で、日本独自の「メタポリックシンドロームの定義と診断基準」を発表しました。


メタボリックシンドロームの診断基準
必須項目
内臓脂肪蓄積
   ウエスト周囲径  男性≧85cm
            女性≧90cm
(内臓脂肪面積 男女とも≧100cm2に相当)

選択項目
これらの項目のうち2項目以上
高トリクリセリド血症 ≧150mg/dL
   かつ/または
低HDLコレステロール血症<40mg/dL
収縮期(最大)血圧  ≧130mmHg
   かつ/または
拡張期(最小)血圧  ≧85mmHg
空腹時高血糖     ≧110mg/dL
※CTスキャンなどで内臓脂肪量測定を行うことが望ましい。
※ウエスト周囲径は、立ったまま軽く息をはいた状態でへそまわりを測定する。
※高トリクリセリド血症、低HDLコレステロ一ル血症、高血圧、糖尿病に関する薬剤治療を受けている場合は、それぞれの項目に含める。
日本内科学会雑誌94(4),188,2005

ウエスト周囲径の計り方

@両定をそろえて立つ。
A両腕を身体の脇に自然にたらし、自然に息を吐ききった時に、へその上で計測。

(注意点)
●メジャーは非伸縮性のものを使用。
●0.1cm単位で計測。
●床と水平になるように計測。
●きつくお腹にくい込まないように注意。
●食事の影響を受けないように空腹時に計測。





 今回、必須の基準項目において、ウエスト周囲径があげられていますが、これは各種疾恵をひきおこす根底には内臓に蓄積した脂肪(内臓脂肪)に よる肥満が原因であり、それをもとに高血圧、高血糖、高トリクリセライド、低HDLコレステロールなどの病態をひきおこす危険因子が増えてくる と考えられているからです。

 また、ひとつひとつの危険因子の程度が軽くても、危険因子が重なることによって動脈硬化性疾患の危険度が増してくると警告しているのです。


 では、その元凶である内臓脂肪をためないようにはどうすればよいでしょうか?

 まず、第一に「生活習慣の改善」が必要です。

 過食、運動不定の積み重ねにより、内臓に脂肪がどんどんたまっていく! ということは、もうすでにご存知のことと思います。

 毎日の積み重ねが、少しずつあなたの身体をむしばんで、じわじわと寿命を縮めているのかもしれません。

 早速、今日から、実行です。

満足するまで食事はしない。

腹八分目の実行!これは次の食事が待ち遠しくなる程度の食事量の事で す。空腹感を感じることも大切です。
間食は減らす。

間食は習慣です。食べない習慣をつけることも必要です。
うす味にする。

塩分の摂りすぎは血圧の上昇につながる可能性が大であると同時にご飯 やアルコールとの愛称もよいのでついつい摂りすぎてしまう傾向にあり ます。
野菜を必す添えて食事する。

食事から摂る栄養バランスがよくなるとともに、疾患や老化の予防にか かわる抗酸化性、抗変異原性、発ガン抑制などの生理的機能性が認めら れています。
アルコールは控えめに。

適量のアルコールは「百薬の長」と呼ばれますが、アルコールは脂肪に 変わりやすい食品のひとつです。くれぐれも飲みすぎには注意です。
1日30分程度は歩きましょう。

考えてみて下さい。毎日どれ位歩いてますか?「これは運動!」と意識 して歩く事。息の弾む程度に速度をあげる事も必要です。



No.61 目次
表紙
ズームアップ・気になる数値解説『糖尿病が疑われる人』
自分の身体を見直そう!!
職場レポート54『日本通運株式会社』
健康づくり施設訪問『ホテル松葉川温泉』
保健協会だより
ご存知ですか? メタポリックシンドローム